企業の物価見通し、1年後は0.9%上昇

2019-09-04
 [東京2日ロイター]  日銀が2日に発表した6月の全国企業短期経済観測調査(短観)における「企業の物価見通し」によると、企業が想定する消費者物価の前年比上昇率は、平均で1年後が0.9%上昇となり、前回の3月調査から横ばいとなった。調査では、企業の消費者物価と販売価格について、1年後、3年後、5年後のそれぞれの見通しを聞いているが、いずれも大きな変化はみられていない。

 1年後の消費者物価見通しは3四半期連続で前年比0.9%上昇となり、2016年3月調査で1%を割り込んで以降、3年以上にわたってゼロ%台後半での推移が続いている。
 
 3年後は同1.0%上昇と前回の同1.1%上昇からわずかに低下。5年後は同1.1%上昇で、前回から横ばいだった。
同時に公表した各企業の主要な製品・サービスの販売価格見通しは、現在と比べて平均で1年後が0.7%上昇で、前回の0.8上昇から小幅低下。3年後が1.2%上昇、5年後は1.5%上昇で、いずれも前回から横ばいだった。
 
日銀が1日に公表した6月短観の概要では、米中貿易摩擦の激化や中国経済の減速、低調なIT関連需要などを背景に、大企業・製造業の景況感が2期連続で悪化した。
海外経済を巡る先行き不透明感が強まり、製造業を中心に内外の製品需要に慎重な見方が出てきており、販売価格判断DI(上昇─下落)、仕入価格判断DI(同)ともに下落方向の動きとなった。
 
企業のインフレ期待は横ばい状態が続いているが、需給の緩みが期待に影響し、日銀が重視する物価2%目標に向けた「モメンタム(勢い)」を弱めることにならないか、注意が必要な局面に入りつつある。