人民元急落受け安全通貨に買い、円は7カ月ぶり

2019-09-04
[ニューヨーク 5日 ロイター] - ニューヨーク外為市場では、中国当局が1ドル=7元を超える人民元安を容認したことを受けリスク回避の動きが強まり、安全資産に資金が流入したことで円が7カ月ぶりの高値を付けた。
 
 
中国人民元は1ドル=7.0352元で5日の通常取引を終了。2008年3月以来の安値で、1ドル=7元を超える元安は同年5月9月以来初めてとなる。
 
ナットウエスト・マーケッツ(コネチカット州)のG10外為戦略部門責任者、ブライアン・ダインジャーフィールド氏は、「市場は1ドル=7元の水準に対し極めて神経質になっていたため、これを割り込んだことでリスク選好度が大幅に後退した」と指摘。「中国のこうした動きが意図的なものだったとトランプ米大統領が判断した場合、対応をエスカレートさせる可能性がある」と述べた。
 
トランプ氏はこの日、中国が約10年ぶりの元安を容認したことは「重大な違反行為」で「為替操作」にあたると批判している。
 
 
通商問題を巡る緊張が高まる中、米国がドル安誘導に向けて動く可能性があるとの観測も出ているが、現時点では米政府が外国為替市場に直接的に介入する公算は小さいとの見方が大勢となっている。
米国債利回りが低下し、連邦準備理事会(FRB)が年内に追加利下げを実施するとの観測が高まるなか、ドルは対ユーロで0.86%安。ブラウン・ブラザーズ・ハリマン(ニューヨーク)の外為戦略グローバル責任者、ウィン・シン氏は「すべては貿易戦争に起因する。リセッションのリスクが高まっている」と述べた。
 
CMEグループのフェドウオッチによると、市場が織り込むFRBが9月に利下げを決定する確率は100%。利下げ幅が50ベーシスポイント(bP)になる確率は30%と、前週2日の1.5%から大きく上昇した。
 
 
リスク選好度が低下した時に買われる傾向のある円は対ドルで0.59%高の105.95円と、1月以来の高値を付けた。